multibook活用事例〜自社ERPで月次決算所用時間を75%短縮―『勘定科目内訳明細書機能』活用インタビュー
ERP
2025/09/10

はじめに
私たちはグローバルクラウドERP「multibook」を通じ、経理業務の効率化を追求する中で、「ユーザー目線に立った改善」を最も重視しています。その一環として、「multibook」を社内でも実際に利用し、現場の気づきをサービス改善につなげる取り組みを行っています。
今回は、2025年6月にリリースされた新機能「勘定科目内訳明細書機能」を導入した事例として、当社経理部の早嵜加江さん(以下、早嵜)に、導入前の課題とその効果について伺いました。
毎月2時間の定型業務 ― 課題解決の出発点
広報:インタビューを始める前に、まずはご自身のご経歴と現在の業務内容を教えていただけますか?
早嵜:外資系企業で経理を経験した後、2015年にマルチブックへ入社しました。以来、本社経理として10年近く「multibook」を利用しています。現在は仕訳入力などの定型業務はアウトソーシングし、私はそれらの業務のコントロールおよび月次・年次決算業務を担当しています。
「multibook」ユーザーとしての使用感を随時フィードバックし、開発チームと対話しながらシステムのブラッシュアップを図るのも私の役割です。
広報:経理、そして実際の「multibook」ユーザーとして製品フィードバックをするご担当もされているんですね。今回導入された「勘定科目内訳明細書機能」について、導入前の課題はどのようなものがありましたか?
早嵜:勘定科目内訳明細書は、貸借対照表の各勘定科目残高を個別に抽出し、銀行口座別や請求書番号別などの内訳にまとめる必要があります。法人税申告や監査では必須の資料ですが、科目数は数十種類に及び、毎月膨大な手作業が発生します。
当社においても、貸借対照表の各勘定科目残高明細を月次で各科目・項目ごとにダウンロードし一つのファイルに張り付け、内容を確認をする作業に毎月最大で2時間ほど費やしていました。対象科目は十数個におよび、個別に処理するため単純作業を何度も繰り返す手間がかかっていました。
広報:毎月、同じ作業をくり返すものは、なるべく効率化をしたいですよね。それを解決する新機能とは、どのようなものなのでしょうか。概要を教えてください。
早嵜:貸借対照表科目を対象に、科目属性に応じた7パターンの内訳明細書を自動作成する機能です。たとえば預金科目は銀行口座別、売掛金科目は請求書番号別など、一段深いレベルで残高内訳を抽出します。 結果はワンクリックで出力でき、項目ごとにシートが分かれて出力されます。
ワンクリックで実現 ― 定型業務が75%削減
広報:非常に便利な仕組みですが、このような機能を短期間で実装できた背景が気になります。
早嵜:前述のとおり、この作業は負担が大きく、業務効率や内部統制の面でも改善が望まれていました。当社BPOチームからも、顧客業務において同様の反復作業が多数発生しており、「科目明細を一括で出力したい」という明確な要望が寄せられていました。
こうした現場の声を受け、開発チームは即座に対応を開始しました。BPOチームの担当者と打ち合わせを行いながら、ワンクリックで必要な明細を一括出力できる形に仕上げ、新機能が本番環境へリリースされました。開発と現場が同じ社内にある強みを発揮できた事例です。

広報:現場と開発の連携がスピーディーですね。導入時に苦労した点はありますか?
早嵜:勘定科目内訳明細書の表示項目設定や勘定科目マスターにいくつか初期設定が必要ですが、システムがあまり得意ではない私でもすぐに設定ができました。また、一度設定すれば対象期間を入力してクリックするだけで科目明細が作成できますので、結果的には大幅な効率化につながっています。
広報:設定を済ませた後は、実際にどのような効果が出ましたか。
早嵜:レポートダウンロードの時間が大幅に減り、確認作業だけをすればよくなったので作業全体も問題がなければ30分以内に終わります。以前は最大2時間ほどかかっていたので、75%省略できていますね。このあいた時間を増減分析など、他のレポート作成に充当できるようになりました。本来取り組むべき付加価値業務へシフトできたと感じています。単に時間を削減しただけではなく、業務全体の質が向上したという実感もあります。
広報:業務時間だけでなく、質の面にも効果が出たのですね。定性的なメリットも教えてください。
早嵜:単純作業のストレスがなくなり、レビューに集中できるようになりました。シートが自動分割され検索性が高まることで内部統制資料としての説得力も増しましたし、自身でファイルを組み合わせる必要がないので、属人化の防止にもつながっています。
属人化ゼロへ ― すべての企業に広がる可能性
広報:効率化と内部統制の両立は、他社にも参考になりそうです。では、この機能はどのような企業におすすめでしょうか。
早嵜:月次で勘定科目内訳明細書を作成する中堅・中小企業や、海外子会社を管理するエンタープライズ企業の本社経理、IPO準備で内部統制を強化したいスタートアップなど、業種や規模を問わず活用することができます。特に、早期決算を求める企業ほど効果を実感できると思います。
広報:ありがとうございます。最後に、今後の活用方針や開発チームへの期待をお聞かせください。
早嵜:ユーザーが直感的に操作を行える、より使いやすさを追及して進化を続けて欲しいと思っています。私自身も1ユーザーとしての要望を今後も開発チームに挙げていくつもりです。自社経理については、“誰でも再現できる経理”を目指し、属人化しない体制を「multibook」で構築したいです。

まとめ
今回の事例では、『勘定科目内訳明細書機能』により、月次決算の単純作業が大幅に短縮され、担当者は数値の“入力”ではなく“分析”に時間を使えるようになりました。明細書の自動生成による内部統制の強化により、属人化リスクを低減する効果も期待されています。
また、現場課題を起点に経理チームと開発チームが連携し、短期間で機能を実装・検証・本番投入をするマルチブックのスピーディーな企業文化も感じていただけましたでしょうか。私たちは自社内での検証を繰り返すことで、要望からリリースまでのリードタイムを最短化し、ユーザー体験を継続的、そして飛躍的に向上させています。ぜひデモ環境で「multibook」の即応性と操作性を体感していただければ幸いです。
>>グローバルクラウドERP「multibook」デモリクエストはこちらから
[今回のインタビュイー]
株式会社マルチブック 経理部 早嵜加江氏
韓国系・米国系の外資系企業にて経理業務を経験後、2015年に株式会社マルチブック入社。以来、一貫して経理業務を担当し、現在は業務委託を活用しながら社内経理を一手に担っている。