リース資産管理システム(IFRS16号対応)で企業の財務管理を革新する

IFRS16号

記事更新日:2024/10/15

リース資産管理システム(IFRS16号対応)で企業の財務管理を革新する

IFRS16号の導入により、企業のリース資産管理は大きな転換期を迎えています。特に、海外拠点を持つグローバル企業にとって、この新基準への対応は避けて通れない課題となっています。本記事では、リース資産管理システム(IFRS16号対応)の重要性、機能、導入メリット、そして実際の導入事例を詳しく解説します。さらに、マルチブック社が提供するmultibookリース資産管理機能に焦点を当て、その特徴や導入効果についても深掘りしていきます。

財務担当者や経営者の方々にとって、このシステムがいかに業務効率を向上させ、正確な財務報告を実現するかを理解する一助となれば幸いです。また、IFRS16号対応が企業の競争力にどのような影響を与えるか、業界全体のトレンドも踏まえて考察していきます。

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IFRS16号とリース資産管理の変革

IFRS16号の概要と影響

IFRS16号は、国際会計基準審議会(IASB)が2016年に公表した新しいリース会計基準です。この基準の主な特徴は以下の通りです:

  1. オペレーティングリースとファイナンスリースの区別を撤廃
  2. ほぼすべてのリースを貸借対照表に計上することを要求
  3. リース資産を「使用権資産」として認識
  4. リース負債を現在価値で計上

これらの変更により、企業の財務諸表は大きく変化しました。特に注目すべき点は以下の通りです:

  • 資産と負債の増加: リース取引が貸借対照表に計上されることで、多くの企業で総資産と総負債が増加しました。例えば、小売業や航空業などリース取引の多い業界では、総資産が30%以上増加したケースもあります。
  • 利益への影響: リース費用の計上方法が変更されたことで、特に契約初期において費用認識が前倒しになる傾向があります。これにより、短期的には利益が減少する可能性があります。
  • 財務指標の変化: 負債比率やEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)などの主要な財務指標が大きく変化しました。これにより、企業価値評価や財務戦略の見直しが必要となっています。
  • 開示情報の増加: リース取引に関する詳細な開示が要求されるようになり、財務報告の複雑性が増しています。

従来の管理方法の限界

IFRS16号導入以前は、多くの企業がExcelを使用してリース資産を管理していました。しかし、この方法には以下のような限界がありました:

  1. データ入力ミスのリスク:
    マニュアル入力によるエラーが発生しやすく、財務報告の正確性に影響を与える可能性があります。

  2. 複雑な計算の手動処理:
    IFRS16号で要求される現在価値計算やリース負債の再測定など、複雑な計算を手動で行うことは時間がかかり、ミスのリスクも高くなります。

  3. 大量データ処理の非効率性:
    多数のリース契約を管理する企業にとって、Excelでの大量データ処理は非常に時間がかかり、システムの負荷も高くなります。

  4. 拠点間の管理方法の不統一:
    グローバル企業では、各拠点で異なる管理方法が採用されていることが多く、データの統合や比較分析が困難になります。

  5. 属人化と知識の偏在:
    複雑なExcelファイルの操作や IFRS16号の解釈が特定の担当者に依存し、人事異動や退職時のリスクが高くなります。

  6. 監査対応の困難性:
    Excel管理では、誰がいつどのようなデータ変更を行ったかの詳細な記録や、リース契約の条件変更履歴を正確に追跡することが困難です。そのため監査対応に多大な時間と労力を要します。

  7. リアルタイム分析と情報共有の制限:
    最新のデータを反映させるためには、手動での更新作業が必要で更新に遅延が発生します。また各拠点が個別にファイルを管理するため、リアルタイムでの情報共有が困難です。

これらの課題を解決するために、リース資産管理システム(IFRS16号対応)の需要が高まっています。特に、グローバルに事業を展開する企業や、大量のリース契約を抱える企業にとって、専門のシステム導入は喫緊の課題となっています。

multibookリース資産管理機能の特徴

マルチブック社が提供するmultibookリース資産管理機能は、IFRS16号対応に特化した革新的なソリューションです。その主な特徴は以下の通りです:

  1. 自動判定・自動計算
    • 少額・短期・資産計上の自動判定
    • 使用権資産当初計上額の自動計算
    • リース負債当初計上額の自動算出
    • 毎月の減価償却費、リース負債返済額、支払利息額の自動計算
      これにより、人為的ミスを大幅に削減し、複雑な計算にかかる時間を節約できます。
  2. 連結修正仕訳・連結注記情報の自動出力
    • 海外現地拠点のローカル基準と本社連結のIFRS基準の差異を管理
    • 連結修正仕訳情報の自動生成
    • 注記情報の自動作成
      この機能により、グローバル企業の連結決算業務が大幅に効率化されます。
  3. 多言語対応
    12ヵ国語(日本語、英語、タイ語、ベトナム語、韓国語、ミャンマー語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語(繁体字)(簡体字)、インドネシア語)に対応しており、グローバル全体で利用可能です。これにより、海外拠点でのスムーズな導入と運用が可能になります。
  4. 短期導入とリーズナブルな価格
    • 最短2週間での導入が可能
    • リーズナブルな利用料
    • 充実した導入・稼働後サポート
      これらの特徴により、企業は迅速かつ低コストでIFRS16号対応を実現できます。
  5. クラウドベースのソリューション
    • SaaSとして提供
    • 高速な処理能力
    • 大量データ対応
      クラウドベースのシステムにより、常に最新の機能にアクセスでき、スケーラビリティも確保されています。
  6. 柔軟なレポーティング機能
    • 会計システムを選ばない、他システム仕訳連携
    • シンプルなエクセルでのデータエクスポート
    • 財務影響分析支援
      これらの機能により、経営判断に必要な情報を迅速に取得できます。
  7. 高度なセキュリティ
    • データの暗号化
    • 多層的なアクセス制御
    • 定期的なセキュリティチェック
      これらのセキュリティ体制で企業の機密情報を安全に管理し、コンプライアンスリスクを低減します。

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導入事例:企業がIFRS16号対応を実現

事例1:鴻池運輸株式会社の成功

鴻池運輸株式会社は、multibookのIFRS16号リース資産管理モジュールを導入し、顕著な成果を上げています。この事例を詳しく見ていきましょう。

企業プロフィール

鴻池運輸株式会社は、総合物流サービス企業として世界に拠点を展開し、フォワーディングとローカルロジスティクスを軸に顧客の需要に対応した安全・安心のサービスを提供しています。

導入前の課題

  1. 手作業による非効率:
    5つの海外拠点のIFRS16号連結修正仕訳をExcelで作成していたため、四半期ごとに10時間以上の手作業が必要でした。
  2. 管理の不統一:
    拠点ごとに管理レベルが異なり、データの一元管理が困難でした。
  3. 属人化:
    複雑なExcel操作とIFRS16号の解釈が特定の担当者に依存していました。
  4. データ入力ミスのリスク:
    手動入力によるエラーのリスクが高く、財務報告の正確性に影響を与える可能性がありました。
  5. グローバル対応の困難さ:
    海外拠点との連携や、多言語でのサポートが課題でした。

導入後の効果

  1. 業務効率の大幅向上
    四半期ごとの10時間以上の手作業が不要になりました。今まで行っていたExcelでの手作業が不要になり、IFRS修正仕訳がボタン一つで出力できるようになりました。
  2. ミスの削減
    Excel管理から脱却できたことでデータ入力ミスが大幅に減少しました。
  3. プロセスの標準化
    Excel管理の時代に生じていた現地法人ごとの管理様式・レベルのばらつきがmultibookによって統一され、拠点間の管理レベルの差異や業務の属人化が解消されました。
  4. 精神的負担の軽減
    手作業による連結修正仕訳の結果確認には時間だけでなく、正確性の担保をしなければといった大きな精神的負担もありましたが、システムで担保できるようになり、メンタル的にも楽になりました。
  5. 多言語サポートの効果
    multibook導入はユーザートレーニングもスコープ内で、ベトナム拠点の担当者はベトナム語通訳を介して、タイ拠点はMultibook Thailandのメンバーを介してタイ語で現地担当者に、といった具合に現地言語での手厚いトレーニングやサポートがあったため、現地の経理担当者が迷いなく、正確にデータを入力できるようになりました。
  6. グローバル経営の可視化
    リアルタイムで海外拠点の財務状況を把握できるようになり、グローバル経営の意思決定スピードが向上しました。
  7. 監査対応の効率化
    データの一元管理と追跡可能性の向上により、監査対応にかかる時間と労力が大幅に削減されました。


鴻池運輸株式会社様へのインタビュー記事全文はこちらからご覧いただけます。>>

事例2:株式会社カカクコムのシステム移行

株式会社カカクコムは、「価格.com」「食べログ」「求人ボックス」など、多様なインターネットサービスを展開する企業です。同社もまた、multibookのIFRS16号リース資産管理モジュールを採用し、業務効率化を実現しています。

導入背景と課題

  1. 事業拡大に伴う管理の複雑化:
    多様な事業展開により、リース資産管理が複雑化していました。
  2. Excelによる管理の限界:
    従来のExcel管理では、メンテナンスに多大な工数がかかっていました。
  3. 効率的な管理システムの必要性:
    事業の成長に伴い、より効率的なリース資産管理システムへの移行が急務となっていました。

multibookを採用した理由

  1. IFRS16号への完全対応:
    multibookがIFRS16号に完全に対応しており、カカクコムの要件を満たしていました。
  2. 短期間での導入と稼働:
    システムの導入から稼働までの期間が短く、迅速な移行が可能でした。

期待される効果

  1. 自動化による業務効率化:
    リース資産計上の自動判定、使用権資産・リース負債計上額の自動計算機能により、複雑なExcel関数を使用する必要がなくなります。
  2. 連結決算業務の効率化:
    連結修正仕訳や注記情報の自動出力機能により、連結決算に関する作業が大幅に効率化されます。
  3. 業務の標準化:
    システム化により、リース資産管理プロセスが標準化され、属人化のリスクが低減されます。
  4. 将来の事業拡大への対応:
    柔軟なシステムにより、今後の事業拡大や新規サービス展開にも柔軟に対応できます。

これらの事例が示すように、リース資産管理システム(IFRS16号対応)の導入は、様々な業種や規模の企業にとって大きなメリットをもたらします。特に、複雑な事業構造を持つ企業や、急速に成長している企業にとっては、業務効率化と財務管理の正確性向上に大きく貢献します。

リース資産管理システム導入のメリット

  • 業務効率の向上
    手作業の削減により、経理部門の負担が大幅に軽減されます。これにより、より戦略的な業務にリソースを振り向けることが可能になります。

  • 正確性の向上
    自動計算により、人為的ミスを防ぎます。これは財務報告の信頼性向上につながり、投資家や規制当局からの信頼獲得に寄与します。

  • コンプライアンスの強化
    IFRS16号への準拠を確実にします。規制の変更にも迅速に対応でき、コンプライアンスリスクを低減できます。

  • データの一元管理
    複数拠点のリース情報を統合管理できます。これにより、グローバル企業の全体像を把握しやすくなります。

  • レポーティングの迅速化
    必要なデータを即座に抽出・加工できます。経営陣への報告や投資家向け情報開示の準備時間を大幅に短縮できます。

  • 意思決定の迅速化
    リアルタイムでの財務影響分析が可能になります。これにより、リース契約の締結や変更に関する意思決定を迅速に行えます。

  • 監査対応の効率化
    データの一元管理と追跡可能性の向上により、監査プロセスが簡素化され、監査対応の時間と労力を削減できます。

導入時の注意点

  1. 現行のリース管理方式との差異を把握する
    既存のプロセスとの違いを理解し、スムーズな移行計画を立てましょう。

  2. 特殊な契約形態への対応を確認する
    業界特有のリース契約がある場合、システムがそれに対応できるか確認が必要です。

  3. 海外拠点がある場合、多言語対応や現地サポートを確認する
    グローバル展開している企業は、各拠点での円滑な運用が可能か確認しましょう。

  4. データ移行計画を綿密に立てる
    既存のExcelデータを新システムに正確に移行するための計画が重要です。

  5. ユーザートレーニングを徹底する
    新システムの効果を最大化するには、適切なトレーニングが不可欠です。

まとめ

リース資産管理システム(IFRS16号対応)は、現代の企業、特にグローバルに展開する企業や複雑な事業構造を持つ企業にとって不可欠なツールとなっています。multibookリース資産管理機能のような先進的なソリューションを活用することで、業務効率の向上、正確性の確保、コンプライアンスの強化など、多くのメリットを享受できます。

鴻池運輸株式会社やカカクコムの事例が示すように、適切なシステム選択と導入により、大幅な業務改善と精神的負担の軽減が実現可能です。特に、多言語対応や短期導入、リーズナブルな価格設定は、様々な企業にとって魅力的な特徴と言えるでしょう。

さらに、これらのシステムは単なる会計処理の自動化にとどまりません。リアルタイムでの財務分析や意思決定支援など、企業の戦略的な経営にも貢献します。急速に変化するビジネス環境において、このような先進的なツールの活用は、企業の競争力強化にもつながるのです。

リース資産管理システム(IFRS16号対応)の導入は、企業の財務管理を次のレベルへと引き上げ、戦略的な意思決定を支援する重要なステップです。自社の状況に照らし合わせて、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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さらに詳しく学びたい方は、以下の関連記事をご参照ください:

  1. 新リース会計基準(IFRS16号)とは?日本基準との違いについて解説
  2. 公認会計士が徹底解説!IFRS16号リース資産管理における4つの重要ポイント
  3. リース資産管理の課題と解決策 IFRS16号対応のマルチブック活用法

IFRS16号対応のリース資産管理は、もはや選択肢ではなく必須の取り組みとなっています。適切なシステム導入により、業務効率化とコンプライアンス強化を同時に実現し、企業価値の向上につなげましょう。

この記事を書いた人

田村 創一

株式会社マルチブック
執行役員/CXO
IFRS16号/新リースソリューション推進部 部長

慶應義塾大学経済学部卒。在学中に公認会計士二次試験合格。卒業後、大手生命保険情報システム会社に入社し、SAP導入プロジェクトに従事。2002年、マルチブック(旧社名:ティーディー・アンド・カンパニー)に入社後も一貫してSAPシステムコンサルティング事業に携わりつつ、取締役CFO、取締役業務推進担当などを歴任。「multibook」事業立ち上げや設計にも関与する。2021年7月、SAPシステムコンサルティング事業のキャップジェミニ社への移転に伴い移籍。2023年4月マルチブックに舞い戻り、サービスデリバリ部門統括責任者に就任。25年以上の会計・ERP経験を有する。

この記事を書いた人

マルチブック編集部

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