生産管理から会計まで一気通貫!
multibook×BBSの協業が支えたベトナム拠点の立ち上げ

建築設備資材等の製造販売とエンジニアリング事業を展開する株式会社昭和コーポレーションは、2020年にベトナムへ進出し、販売拠点としてSHOWA VIETNAM CO., LTD.(昭和ベトナム)を、2022年には製造拠点としてSHOWA TECH VIETNAM CO., LTD. (昭和テックベトナム)を設立しました。日本人1名からのスタートという限られたリソースの中、マルチブックとビジネスブレイン太田昭和(BBS)のサポートにより、会計・ロジスティクスから生産管理・原価管理まで統合した管理体制を構築しています。今回は昭和ベトナム拠点長の宮野氏と昭和テックベトナム拠点長の堀越氏に、multibook×BBSの協業がもたらした価値についてお話を伺いました。
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導入前の課題
- 当初は日本人一人でのベトナム赴任のため、日本の本社側でも操作管理ができる会計等のシステムが必要だった。
- 昭和テックベトナムの工場立ち上げに伴い、会計だけでなく生産管理や原価管理のシステムが必要となった。
- 上場企業として求められるガバナンスレベルを海外現地法人でも実現する必要があった。
multibookを選んだ理由
- コストパフォーマンスが高く、スモールスタートに適していた。
- 日本本社からも操作・管理ができるクラウドシステムであった。
- 多言語対応が充実しておりベトナムだけでなく将来の多国展開を見据えたビジネスモデルに合っていた。
- BBSとの協業により、multibookにはない生産管理・原価管理システムもカスタマイズ開発できることがわかった。
導入後の効果
- 会計・販売・工事原価などのシステム管理が実現し、月次決算が7営業日で完了。海外現地法人として高い業務効率を達成した。
- 本社側でも常にデータを見られる「ガラス張り」の体制により、上場企業として求められるガバナンス要求に応えられる管理体制を実現した。
- BBSのプロトタイプ開発手法により、仕様が固まらない立ち上げ期でも約4〜5カ月という短期間で生産管理・原価管理システムを構築できた。また、その過程で生産プロセスをシンプルに、効率的に再構築できた。
- multibookの汎用性とBBSの専門性・コンサルティング力により、経理・生産業務が安定稼働し、本業である技術向上や生産拡大にリソースを集中できるようになった。
ASEAN市場を見据えた戦略的ベトナム進出
―― 貴社グループの事業内容と海外現地法人立ち上げの背景について教えてください。

[写真]SHOWA VIETNAM CO., LTD. 拠点長 宮野 淳史様
宮野様:母体となる株式会社昭和コーポレーションは、建築設備業界において空調設備や衛生設備等、とりわけ“熱”というキーワードで結びつくフィールドで事業を展開している会社です。
大きく分けて「製造販売事業」と「エンジニアリング事業」の2つの事業を展開しており、製造販売事業では自社製品の製造に加え、建築設備資材の総合商社として幅広い製品を取り扱っています。エンジニアリング事業ではごみ焼却発電設備などのインフラ関係やビル空調向けの断熱工事を手がけており、断熱工事業者としては国内随一の規模を誇ります。
海外展開を始めたのは2012年頃です。当時、日本の建築業界は縮小が予想される一方で、ASEANからの引き合いが増えていました。最初は各国への出張対応から始め、2014年には代理店網を構築しました。しかし、建築業界は属人的な性質が強く、現地に入り込まないと売上が伸びないことが課題でした。
そこで2019年にベトナムに駐在事務所を設置し、2020年に現地法人化して昭和ベトナムを設立しました。ベトナムを選んだ理由は、当社の外注先工場が多く存在し、製造した製品をASEAN各国や日本へ展開できる拠点になると判断したためです。
現在、昭和ベトナムの最大の強みは環境分野です。工場からの排気ガス対策や悪臭処理について、調査・設計から施工・メンテナンスまでワンストップで対応できる体制を構築しており、ベトナム国内から東南アジアへの展開も視野に入れています。
その後、日本国内の製品需要が高まり、供給が追いつかなくなったため2022年8月に昭和テックベトナムを設立し、ウレタン製品の製造拠点としました。工場は2025年3月から本格稼働しています。ベトナム国内で日本での事業をすべてカバーできる体制が整い、加えて新規事業にも着手しているという状況です。
スモールスタートを可能にした、multibook導入3つの決め手
―― 2020年12月に昭和ベトナム様が multibookを導入されました。multibookを導入するに至った決め手は何だったのでしょうか。
宮野様:ベトナム現地法人の立ち上げに伴い、会計や販売、在庫管理のシステムが必要になり、本社の情報システム部署と相談しながら検討を進めていきました。たしかマルチブックを含めて3社程度を比較検討したと記憶しています。
multibook導入の決め手は3つありました。まず最も大きかったのが費用面です。ベトナムの現地法人を軌道に乗せられるかどうか、事業の成否が不透明な中での挑戦でしたから、できるだけスモールスタートする必要がありました。multibookは現地法人の立ち上げでも適正価格で使用できるプランがあり、初期コストを抑えたい私たちのニーズに合致していました。費用面ではmultibookが圧倒的にリーズナブルで、費用を抑えたい私たちのニーズに合致していました。
次に、2019年当初は私一人で現地に赴任していましたから、日本の本社側でも操作・管理ができるシステムが必要だったこと。そして最後に、ベトナムだけでなく今後の海外展開を見据えて、多言語対応していること。この3つが決め手となり、導入を決めました。
―― 昭和テックベトナム様でも2022年にマルチブックを導入されています。

[写真]SHOWA TECH VIETNAM CO., LTD. 拠点長 堀越 信一様
堀越様:はい。昭和テックベトナムがmultibookの導入を決めたのは、昭和ベトナムでの導入実績があったことが大きな理由です。
正直なところ、私も最初は一人で配属されたため、会計以外にも業務があり手いっぱいの状況だったんです。ですから「将来的にはこうしたい」という希望などもお伝えしながら、かなりお任せする形で導入を進めました。
プロトタイプ開発で実現した生産管理・原価管理の一体化
――昭和テックベトナム様では、multibookの会計システム・ロジスティクス機能と連携して活用できる「生産管理・原価管理システム」を導入されたそうですね。

[図1]製造業の基幹業務を網羅するグローバルクラウドERP multibookとBBS生産管理オプション・原価オプション
宮野様:はい。もともと生産管理・原価管理システムの開発実績のある「株式会社ビジネスブレイン太田昭和(BBS)」との繋がりがあり、相談をしていました。
当初は会計や販売、在庫管理だけmultibookを活用し、生産管理や原価管理は日本の工場で利用していたシステムやシステム外で対応しようかという話も出ていたのですが、せっかく新しい工場を立ち上げて生産性を追求できるタイミングでしたから、新たな生産管理・原価管理のシステムを導入したいという思いが堀越にも私にもありました。
堀越様:当時を振り返ると、生産管理はExcelマクロで対応しようかという話もあったんですよね。しかし本社の経理部門から「Excelでは属人的すぎて信頼性に欠ける」という指摘があり、やはりきちんとしたシステムを入れたいとなったんです。
また、昭和テックベトナムでは日本の工場の生産フローを横展開する方針でしたが、この機会に既存の生産フローをよりシンプルにしてリードタイムを短縮しようと改善を進めました。当初は原価管理をスコープに議論していましたが、日本の生産部門から「原価管理をやるなら、工程管理も加えてほしい」と要望があり、急遽追加することになりました。
―― BBSとは、どのように開発を進めたのでしょうか?
堀越様:BBSはプロトタイプ開発をされていて、仕様を完全に固める前に、ある程度作った状態のプロトタイプを顧客に提示し、実際にそれを利用しながら仕様を固めていくというスタイルを取られていました。弊社の岐阜工場などを実際に見ていただき、製造部門が何を行っているかを把握した上で、まず小さく試作版をつくっていただきました。
工程フローも完全に固まらないような立ち上げ期で、私たちも最適な仕様を定義しきれない中でしたから、プロトタイプでのアプローチは最適でした。途中の変更が多く、手間をかけさせてしまったと思いますが、一緒に業務設計をしていただき、コンサルティングを含めたサービスを提供いただきました。
工場が稼働する前のシステム開発で難易度は高かったと思いますが、プロトタイプを見ながら調整できたおかげで、短期間で自社の生産にぴったりなシステムを提供いただくことができました。
―― 導入のスケジュールや価格については、どのような印象をお持ちですか?
堀越様:日本本社で使っているような大規模なシステムは数千万から億単位ですから、価格面でも機能面でも私たちにとってはオーバースペックです。その点、BBSの生産管理・原価管理システムは必要な機能がすべて揃っていて、かつ無駄な機能がないという点で私たちのニーズに合っていましたし、価格的にも非常にフィットしていました。
スケジュールもかなり短期間でした。通常半年から1年以上はかかるシステムだと思いますが、生産管理システムと原価管理システムをそれぞれ約4〜5カ月で仕様固めから開発まで実施いただき、工場の稼働に間に合いました。
BBSがタスクやスケジュールが視覚的にわかるようにガントチャートをつくり共有いただいたので、私の作業が遅れたときにはリマインドしてくださるなど丁寧に管理をしてくださったからこそ、これだけスピーディに導入できたと思っています。
月次決算7営業日を実現―ガバナンス強化と業務効率化を両立
―― 導入後の活用状況についてお聞きします。昭和ベトナム様では、現在どのようにmultibookを活用されていますか。
宮野様:一般会計の月次処理はもちろん、ロジスティクス機能も幅広く活用しています。在庫販売や直送販売、ベトナム国内のドメスティック販売から海外への輸出まで為替調整を含めてmultibookは非常に使いやすいです。一般会計と販売事業における輸出入の経費処理、売上計上がメインですね。工事事業においても同様に、売上と原価管理を行っていますし、私自身は管理者として収益性分析機能もよく使っています。
―― どのようなところにmultibookの良さを感じていますか。
宮野様:想定の費用内で、会計・販売・工事原価などの管理ができているのがメリットだと捉えています。具体的な成果について触れると、現時点では月次決算が7営業日で完了しているんです。これは海外現地法人としては良い数字ではないでしょうか。
―― 昭和テックベトナム様の活用状況を教えてください。
堀越様:まだ立ち上げ間もないので、現在は月次決算処理と在庫確認が中心ですが、今後は管理面での活用を考えています。特に製造業として、損益分岐点の把握や労働生産性・設備生産性といった指標は大事ですから、改善のツールとして使っていきたいですね。
また、私自身は直接multibookを触ることが少ないので、他社でも経験のあるベトナム人の会計担当者に話を聞いたところ、multibookはロジスティクス機能がとても使いやすいとのことでした。大きなボリュームのデータを扱える、そして間違いが起きにくく、シームレスに会計処理できる点が好評です。
―― 昭和テックベトナム様が導入された生産管理・原価管理システムの使い勝手はいかがですか?

堀越様:仕様決めの段階から一緒に参画していただき、ベトナム工場の業務フローに合ったシステムを作ってもらいましたから、入庫から生産・出庫まで一貫して経理処理ができ、使い勝手は良いです。
特に良いのは、生産や入庫に関わる情報入力を購買担当や生産担当に分業できる点。経理は期末処理時に非常に負荷がかかるのですが、各担当が事前の情報入力を行うプロセスを構築できたことで、うまく負荷分散できるようになりました。また無駄な機能がなく、完全に自社の工程向けに作られているので覚えるのが楽で、運用しやすいですね。
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multibookの汎用性×BBSの専門性が生んだ価値
―― 今回はマルチブックとBBSがタッグを組み、お客様と一体となってロジスティクス、生産管理、原価管理から会計が一貫してできる体制を築きました。マルチブックとBBS様の連携については、どのような感想をお持ちでしょうか。
堀越様:multibookは多機能で柔軟性があり、マニュアルも充実した優れたシステムです。ただ、「自分たちにとって一番良い使い方は何か」を判断するのは、特に経理経験がない私のような立場では難しいんです。一方、BBSは以前から当社の会計処理の仕方やどのようにものづくりをしていきたいかといった社内事情を理解してくれています。multibookの性能を引き出す方法を、当社の状況を踏まえてコンサル的に提案していただけるのが最大の強みです。
汎用性があり、販売や購買、在庫管理といったすばらしい標準機能を持つmultibookと、ベトナムでのビジネスを熟知し顧客に合わせてシステムをカスタマイズできるBBSが協業でサポートしてくれたのは非常に心強かったです。
multibookの汎用性とBBSの専門性がうまく重なり合い、顧客満足度を高めてくれたと感じています。
―― 本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、お二人にとってマルチブックやBBSはどのような存在か、お聞かせください。

宮野様:multibookを活用する最大のメリットは、5年前に上場企業のグループに入り、ガバナンスのレベルが上がった母体である昭和コーポレーションの要望に応えられる体制をつくれていることです。いわばガラス張りの状態で、本社側でも常にデータを見られる体制を構築できていることは私にとって大きな安心材料となっています。
また、BBSとの連携で特に重要なのは、BBSもベトナムに現地法人があり、ベトナムの会計基準を理解していることです。ベトナムは法改正が頻繁に行われるので、そのアップデートを含めて、現地にいるBBSとパートナーシップを組めているのは大きな利点です。マルチブックとBBS、この2社が協業し、サポートしてくださっているこの体制が、現在の当社にとって一番マッチした形だと感じています。
堀越様:新しく海外現地法人を立ち上げる時は、管理者として対応すべきことがたくさんあります。当然ながら会計だけをやっていればいいというわけではなく製造や購買、人事業務など多岐にわたります。それらの全てを立ち上げ初動で社内だけで対応するのは不可能です。会計部分についてはパートナーと組んで、本業の生産に力を入れたいというのが本音です。
そのパートナーとしてまずmultibookというソフト自体の汎用性が高く、低コストで導入でき、充実したマニュアルもあって、会計担当者が見ればある程度問題解決できるので助かっています。立ち上げ時の海外現地法人には導入しやすい優秀なシステムです。生産管理や原価管理システムはmultibookにはありませんが、BBSが力を貸してくださったおかげで、新しい課題やテーマが出てきた時にも、経営課題に近い部分までソリューションを提供してもらえています。
良いソフトがあり、良いコンサルティングがあることで、経理や生産が回り、私たちは本業である技術向上や生産拡大にリソースを割くことができます。ゼロから一人で現地法人を立ち上げるうえで、本当に頼りになる体制だったと思います。
株式会社ビジネスブレイン太田昭和(BBS) 古津様よりコメント
今回のプロジェクトは、2023年に昭和ベトナム様の現地運用を訪問し、課題を確認したことが起点でした。昭和テックベトナム様では工場立ち上げに向け、生産管理・原価管理の仕組みが必要とされていましたが、市場にあるシステムは機能過多で高額なものが多く、導入を断念しかけていました。そこで、BBSとして「価値に見合う価格で必要な仕組みを提供したい」と考え、multibookを補完する形で両システムをご提案し、採用いただきました。
業務フローが固まっていない段階からのスタートで、本社・海外拠点と一体で業務整理と構築を並行して進める非常にチャレンジングな取り組みでしたが、生産管理・原価管理ともに約4〜5ヶ月で導入まで完了し、工場稼働スケジュールに間に合わせることができました。必要な機能に絞り、現場にフィットした仕組みをスピーディーに提供できたことが高い満足につながったと感じています。
マルチブック様との協業により、今回のベトナム新工場のシステム構築を大きなトラブルなく完遂できたことは、弊社にとっても大きな自信となりました。今後もタッグを組み、ベトナムでの海外法人設立を支援する企業様に貢献してまいります。
グローバルクラウドERP multibookに関するお問い合わせやお見積依頼はこちら>
[取材に対応いただいた方]
SHOWA VIETNAM CO., LTD. 拠点長 宮野 淳史様
SHOWA TECH VIETNAM CO., LTD. 拠点長 堀越 信一様
[取材・文]
猪俣 奈央子
お客様概要
- 会社名
- SHOWA VIETNAM CO., LTD./SHOWA TECH VIETNAM CO., LTD.
- 事業内容
- 建築設備資材等の製造販売とエンジニアリング事業



















































































